嫉妬と煽情と初めての夜#1

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彼はキッチンの冷蔵庫からビールを出すと、一気に空けた。 「……シャワー、早かったな」 「え?……あ、うん」 なんで私がシャワー浴びたことを知ってるんだろう。 振り向きざまに言われた言葉が理解できない。 私の返事を聞いた戸川君の顔に皮肉な笑みが浮かんだ。 「すごい神経だな」 「……何のこと?」 「あいつと会った後、 今度は違う男の家かよ」 「……何よ。その言い方」 彼の刺だらけの物言いに、 私の声も低く険しくなった。 「崎田さんのこと? いきなり来て強引に入って来たんだもん、仕方なかったのよ」 「…プライドはないのかよ」 「どういう意味? きちんと話して、ちゃんと別れたよ。 何でそんな言い方…」 「好きにしろよ。 …用が済んだらさっさと帰れ」 何でこんなに腹を立てられなきゃいけないのか分からない。
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