嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「あくまでも憶測だけどね」 麻紀は真面目な顔で考え込んでから言った。 「戸川君にしてみたらさ。 良かれと思って強引に出たけど、 紗衣が泣いてるの気付いちゃった訳でしょ。 後悔とかあるんじゃない? やりすぎた、みたいな」 「じゃあ、その罪ほろぼしに優しくしてるってこと?」 「ていうより、いくら演技だとしても、キスした後に泣かれたらショックじゃん」 「それが嫌で泣いた訳じゃないんだけど」 「戸川君からみたら、 そんなこと分からないじゃん。 崎田さんへの未練の涙か、とか。 いずれにしても、 いい方には受け取れないよ」 「確かに。でも仕方ないよね…」 私が考え込んでいると、 麻紀は急に楽しそうな顔になった。 「なんか、面白くなってきたね! あの戸川君も人間だったんだ」 「そう言うけど。 戸川君って麻紀が言ってたみたいな冷たい感じ、全然ないよ。 どっちかって言うと優しい方じゃないかと…」 麻紀のニヤニヤ笑いが大きくなってきたので途中で止めた。
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