嫉妬と煽情と初めての夜#1

30/38

5715人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
この一時間に起こった色んな緊張や感情の揺れに疲れて、私は自分をコントロールできなくなった。 「なによ…なによ、自分だって」 “あいつ、元カノと切れてない” “由里も戸川先輩のマンションに行ったんでしょ?” 皆から聞かされ色んな言葉が頭を渦巻いた。 「俺だって、何だよ」 「と、戸川君だって……」 そこで私は言葉に詰まった。 私に何か言う権利がある? きっと、元カノよりも小さい存在の私。 私が、戸川君を好きなだけだ。 崎田さんとの別れに一枚かんでる戸川君に比べたら、私の立ち位置なんてどこにもない。 「もう、いい……!」 背中を向けた途端に、 顔が崩れて涙が溢れた。 気持ちを伝えたくて、 ここまで来たのに。 こんな会話をするために、 ここに来たんじゃなかったのに。 逃げ出したくて、玄関に走った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5715人が本棚に入れています
本棚に追加