5715人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
この一時間に起こった色んな緊張や感情の揺れに疲れて、私は自分をコントロールできなくなった。
「なによ…なによ、自分だって」
“あいつ、元カノと切れてない”
“由里も戸川先輩のマンションに行ったんでしょ?”
皆から聞かされ色んな言葉が頭を渦巻いた。
「俺だって、何だよ」
「と、戸川君だって……」
そこで私は言葉に詰まった。
私に何か言う権利がある?
きっと、元カノよりも小さい存在の私。
私が、戸川君を好きなだけだ。
崎田さんとの別れに一枚かんでる戸川君に比べたら、私の立ち位置なんてどこにもない。
「もう、いい……!」
背中を向けた途端に、
顔が崩れて涙が溢れた。
気持ちを伝えたくて、
ここまで来たのに。
こんな会話をするために、
ここに来たんじゃなかったのに。
逃げ出したくて、玄関に走った。
最初のコメントを投稿しよう!