嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「じゃあ、何で、」 でも戸川君はどこか傷ついたような表情で苛立たしげに怒鳴った。 「何で、あいつと寝たんだよ」 「……え?」 予想外の言葉に、涙が止まった。 「あれだけのことされて、 なんでまた許したんだよ?」 「ちょっと待って。 ね…寝たって何?」 戸川君はいったん口をつぐんで私を睨み付けたけれど、その強い目が少し揺らいだ。 「あいつと…違うのか?」 瞬間、頭が沸騰して 弛んだ戸川君の腕を振り解いた。 「そんな訳ないじゃない!」 「彼女なら今シャワー浴びてるから出られないよって、あいつにすれ違いざまに言われた」 「な、何を…!」 電話に応答がないので私の家まで迎えに来た戸川君が、部屋から出てきた崎田さんと鉢合わせしたらしい。 崎田さんもとんだ置き土産だ。 怒りの後、情けなくなった。
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