嫉妬と煽情と初めての夜#1

34/38

5715人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「ごめんな。……情けない」 ドサッと横に座った戸川君が大きくため息をついた。 「あんな嘘にコロッと騙されて」 「崎田さんも魔が差したのかな。 出くわすタイミング悪すぎて」 「最初の電話でお前の様子が変だった気がしたけど、あの時もうあいつ居たのか?」 「ううん。あの後に来たの。 戸川君と間違えてドア開けちゃって」 悪趣味すぎる、とまだ怒ってる戸川君は子供みたいで、私の顔も弛んだ。 「崎田さんとはちゃんと話して、 最後はきちんとした別れになったと思ったのに残念……あいたっ」 いきなりデコピンされて、手を当てる。 「あいつの話を笑顔でするな」 唸るように言って戸川君が立ち上がった。 「…泣いても怒るくせに」 「……」 戸川君は冷蔵庫からビールと私のチューハイを取ってくると、テーブルに置いてくれた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5715人が本棚に入れています
本棚に追加