嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「そりゃそうと」 戸川君がビールを開けながらこちらをじろりと見た。 「さっき何で泣いたんだ? 自分だって、って言ってたよな?」 「あ……、えっと」 「俺だって、って何だ?」 さっきは勢いで言ってしまいそうになったけど、今の雰囲気では元カノの話は言いだしにくい。 「戸川君だって切れてないとか。 特別な存在で、ここに来たり…とか」 「分かるように言え」 「……」 本当は、 こんな話をしにきたんじゃない。 ただ好きって言いたかったのに。 でも、あの子が特別な人なら、 私は振られることになるんだ。 「…どうした?」 優しく両肩を掴まれて彼の方を向かされる。 さっきまでの怒った顔とは別人みたいに優しい目で見つめられると、涙腺が弛みそうになった。
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