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「…渡辺由里とは確かに昔、大学の時に付き合ったことがあるけどほんの数か月で、それっきりだ」
「でも…ここに遊びに来たって。
…いい感じだったって言ってた」
「いい感じの訳あるか!
玄関より先に入れてない。
向こうが住所調べて勝手に押し掛けて来ただけだ。
引っ越しの手伝いするとか言って」
あいつら、と舌打ちしながら、
戸川君が苛立たしげに言った。
「あっちがどう言おうと、
今後も関わる気はない。
わかったか?」
「…わ、わかった」
あまりにも明快な否定に、嬉しさよりも気まずさが先に立った。
妙な沈黙が落ちる。
「…これが理由で泣いたのか?」
「…えっと。そうでもない…?」
駄目だ。
好きって言うはずが、いざとなるとうまく会話を運べない。
「本当は…伝えたいことがあって来たのに、戸川君怒って帰れって言うし」
「悪かったよ」
「ちが…謝ってもらいたいんじゃなくて」
人生初の告白は、不器用に口から言葉が出てくるまま、支離滅裂になった。
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