嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「いやいや、大学時代だって。 でも、戸川君を追い掛けてうちに入社したらしいよ。 父親のコネ使って」 「それじゃ今も?」 「戸川君の方はまったく相手にしてないらしいんだけど、彼女は吹聴して歩いてるらしいよ。 私は特別な存在なんだって」 「ややこしい人がくっついてるんだね…」 でも、元カノともなれば脅威に感じられる。 過去であっても、一度は戸川君が好きになった人だから。 「嫌なついでだけどさ…」 すっかり意気消沈した私に、 麻紀が言いにくそうに付け足した。 「その子、海事らしいんだよね」 「ああ、地の利でも負けてる…」 地の利で言うなら、隔絶されてる経企室なんて一番不利だ。 「弱気になっちゃ駄目だよ紗衣! 幸い、戸川君のアシスタントじゃないって。 海外管理部らしいよ」 「管理部も侮れないよ。 個人データ把握できるから。 …どんな感じの子なんだろう」 戸川君の好みを知りたくもある。 会ったこともない元カノに、羨ましさと嫉ましさが入り混じる。
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