嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「もしかして、片桐って人?」 「おお!紗衣にしちゃよく知ってるじゃん」 「名前しか知らないんだけどね。 今度帰国して経企室に来るんだって。 私、ペアで仕事するらしいの」 「えーっ、いいな! 紗衣、戸川君から乗り換えちゃったりして」 「ないない。亀岡さんの後釜なんて無理だよ、恐れ多い」 「亀岡さんも今は上海駐在だからね…破局しちゃったんだろうね」 「ドラマがあったのかもね」 遠距離とか赴任とか。 それだけじゃない。 恋と仕事と結婚と出産と。 働く女には、人生の取捨選択を迫られる時が必ず来る。 「戸川君も、いずれ海外に赴任するらしいんだよね…。 1人で身軽に行きたいとか言ってた」 実ったとしても、いずれは泣く羽目になるのかもしれない。 「戸川君らしいけど、それはフリーだから言えることでしょ? 付き合えば彼も変わるかもしれないよ」 「でも戸川君って、寂しいとかの感情とは無縁ぽくない?」 確かに、と麻紀は腕組みをして頷いた。
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