5715人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「ついてこいって言われたら、
紗衣は仕事辞めて行っちゃう?」
「うーん…。難しいね」
「つか、待って。
付き合ってから心配しろって話だわ」
先走りすぎた自分達に爆笑した。
「どっちにしてもその元カノも戸川君を狙ってるはずだから、早くなんとかしなよ」
早くって言われても、どうしたらいいのか分からないのが今の状況だ。
「でも、いきなり告白できる?
出会ってから早すぎるし、
仕事の話ばっかで雰囲気ないし」
「夜の公園で二人きりなら十分じゃん?
告らなくてもさ、好意を匂わせるのよ」
「に、匂わせる…?」
「困ったらもう“好き”でいいじゃん。
ドカンと行け!」
興奮するとやたらに声が大きくなる麻紀のせいで、店員さんの視線が痛い。
「うん。頑張る…けど、噂の冷凍ビームで死ぬかもしれない」
「“彼は優しい”んでしょ?
大丈夫、振られても死なないよ」
この調子で散々背中を叩かれて、この日は帰った。
麻紀の勢いに乗せられ、アクションを起こす気になったものの。
私の気持ちを削ぐような微妙な出来事があるのもまた、社内恋愛の常だ。
最初のコメントを投稿しよう!