74人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
――全ての物語が開幕される前に。
少々、時間がさかのぼる。
件のリムジンの会話より――数週間前の話である。
――――――
「はぁ……。大きなお屋敷っていうか……何? このどこかのテーマパークみたいなお城って感じなんだけど?」
「まぁ……ノートリックス筆頭株主の家だからねぇ……」
白亜の館を見ながらため息を吐く私に、光姫が苦笑まじりにそう答えた。
「筆頭株主ねぇ……」
「マッチー、頼むから……TPO、ね」
「わかってるって、あんたもいちいちくどい!!」
「くどいぐらい言わないとわからないのはマッチーでしょ!!」
光姫がキッと私を睨む。
「良い? くれぐれも……くれぐれも!! 大将の時みたいなのはやめてよ!!」
「だからわかってるっての!!」
まぁ……と続ける。
「カンパールみたいなのが横に居たらわかんないけど」
「全然わかってないジャマイカ!!」
容赦なく突っ込む光姫にあー、ハイハイと適当に受け流す。
最初のコメントを投稿しよう!