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笑って 笑って
君よ
どうかこの世界で 笑って
君の笑顔のためなら
僕は世界を敵に回しても構わない
笑って 笑って
君の笑顔のために
僕は手を汚しても構わない
笑って 笑って
抜き身の血濡れた刀を振り回す
この道化師は
――――かほさんの鈴を転がすような声が響く。
それに答えるように――私も囁いた。
「君の笑顔のためだけに」
「そのためだけに――」
――――――
「それは?」
光姫が怪訝そうに私とかほさんを見る。
「初代毒婦マチルダというのは詩人でもあったの」
――『君が笑う世界』
初代毒婦マチルダが作った詩……。
「他人の笑顔だけを守る為に、悪になってもいいと……そんなあなた方だから、私はあなた方に力を貸したい――。私のわがまま……聞いてくれるかしら?」
――――――
――――それから数週間後の事である。
かほさんの協力のもと――私たち二人、否。
友人たちとオークション会場に乗り込んだのは――
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