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「て言うか、姉御、ちょっとは落ち着けって」
「そうだぞ、マチルダ!!」
オニクが全身タイツで威張りながら、私に言う。
「オークションって言うのはな……冷静さと瞬時の判断力が要だ。落ち着くんだ!! マチルダ!! 落ち着いて……そして白の全身タイツを着るんだ!!」
「だから、着ないっつってんだろぉぉがぁぁ!!」
コイツらは……本当に私に落ち着いて欲しいと思っているなら!!
今すぐ、その傾いたカッコをなんとかしやがれ!!
脳内ツッコミをしている私を見ながら、佐多がこれ見よがしにため息を吐いた。
「俺、あっちのリムジンに乗りたかったな……」
チラリと私を見ながら、そう言う。
「あっちは美人二人と寒波……。いーなー……光姫と禿げ天使……」
「どういう意味だ!! こらぁぁ!!」
「まんまの意味だけど?」
しれっと答える佐多を睨みながら、私もため息を吐く。
「決めたのはあんたの嫁だ!! 文句があるなら嫁に言え!!」
そう言いながら、運転席の窓越しに見えるもう一台のリムジンを見つめるのだった――
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