2人が本棚に入れています
本棚に追加
場面:路上/昼
黒い柴犬が一匹、道路に倒れていた。後ろ足が血で赤く染まっている。車にでもはねられたのだろうか。俺はそっとその黒柴に近づいてみる。
(…駄目か。死んでるな)
俺は目を閉じたまま死んでいる黒柴をなでる。短い毛が肌に心地よい。
(…さて、どうするかな)
俺は路上の真ん中で考える。幸いなことに俺の姿は人間には見えないし、声は聞こえない。
(……仕方がない、お前の身体をしばらくの間借りさせてもらうとしよう)
俺は黒柴の死体に片手を伸ばして触れた。
最初のコメントを投稿しよう!