桜田の長い一日

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場面:路上/昼 黒い柴犬が一匹、道路に倒れていた。後ろ足が血で赤く染まっている。車にでもはねられたのだろうか。俺はそっとその黒柴に近づいてみる。 (…駄目か。死んでるな) 俺は目を閉じたまま死んでいる黒柴をなでる。短い毛が肌に心地よい。 (…さて、どうするかな) 俺は路上の真ん中で考える。幸いなことに俺の姿は人間には見えないし、声は聞こえない。 (……仕方がない、お前の身体をしばらくの間借りさせてもらうとしよう) 俺は黒柴の死体に片手を伸ばして触れた。
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