宝玉の章。

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迷った女神は宝珠を手に取り、ヒビを一つ入れてみた。すると世界に地震が起こった。 もう一つヒビを入れてみた。今度は川が氾濫した。 だから女神は傷をつけた。宝珠に細かな傷を、たくさんたくさんつけた。 『ゆっくりと傷は大きくなる。ゆっくりと、この世界は消えていく』 女神はその宝珠を、誰にも手が届かない、自分の姉妹でさえ知らない場所へと隠してしまった。 誰も知らない場所へ、誰の手も届かない場所へと隠された宝珠は、その傷を直すことができない…… ――やがてゆっくりと、それでも確実に、世界は崩壊への道を辿り始めた。 他の女神が気付いたときにはもう手遅れだった。 世界の半分は海に沈み、大地は割れ、生きている者は半数にも満たない。 宝珠を壊された世界だけではない。 影響は、他の三つの世界にも表れていた。 女神の嘆きはよほど深かったのだろう。 三柱の女神は、せめていまある命だけでも守ろうと、力を合わせて世界を再構築した。
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