宝玉の章。

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三柱の女神は四つの世界を混ぜ合わせ、繋ぎ合わせ、新しい一つの世界を生み出した。 壊れてしまった宝珠の力を他の三つの宝珠で補うために、世界を一つにして、宝珠の力が強くなるようにしたのだ。 けれども元は別の世界だったものを繋ぎ合わせることは難しかった。 無理やりに繋ぎ合わせた世界にほころびが生じたのだ。 三柱の女神は必死で考えた。 世界を失くしたくなかった。 このまま世界を失くしては、自分たちの姉妹である彼女の心が一生戻ってこないと思ったのだ。 願いを託した一葉。 想いを託した二葉。 希望を託した三葉。 祈りを託した四葉。 四柱の女神が“まだ人であった頃”の思い出。 それは“幸せの徴”だと言われていたもの。 四つの葉を四人で分け合った。 四人がそろえば、それは幸せの証となった。 首に下げていたその首飾りを、三柱の女神は世界に差し出す。 『それを付ける資格が私にはない』と、その子が外して置いていってしまったそれも、一緒に差し出す。 三柱の女神は願いを込める。 この世界が壊れませんように。 あの子の心が戻ってきますように。 幸せを象った首飾りはやがて混ざり合い、幸せの形を保ったまま、一つの水晶へと姿を変える。 それは四つの世界の中心に置かれ、世界同士を繋ぐ強力な役目を果たすのだった――……
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