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「内部に詳しくない人間が、
10か所以上もある防犯カメラに
まったく映らずに校内を
徘徊することは、不可能だ。
…犯人が幽霊でもない限り、ね」
幽霊、という言葉を聞き、
わたしが固まると、
それを見た白井さんが
あはは、と笑った。
「そんなに怖がらないで、
萌ちゃん。
幽霊のはず、ないよ。
これは間違いなく、
生きた人間の仕業だ」
そう。…幽霊のはずはない。
悪意を持った誰かが、
灯油をまき、火を点け、
…ヒロシくんを気絶させ、
カメラを奪った。
実体のある相手だと分かっていても、
その得体のしれない影が
不気味であることに
変わりは無かった。
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