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自宅に着くと、テーブルには母の作った夕飯が並び始めていた。
私はただいまを言った後、すぐに自分の部屋に向かった。
直人くんからの連絡があったからだ。
タイミングよく出られなかった着信アリの携帯を握って部屋に入ると、自分の部屋なのに、どこかかしこまってベッドに座る。
電話のコール音を聞きながら、早まる鼓動の抑え方を知りたいと思った。
直人くんはすぐに電話に出てくれた。
『もしもし?無事着いた?』
「…うん。ありがとう。やっぱり新幹線は早いね」
『だろ?俺はこれから飯』
「…そっか。何食べるの?」
『適当。贅沢しちまったし、コンビニだな』
「…ごめん」
『あ。そーいや、アイス食べるの忘れてたな。デザート食いそびれて代わりに買ったのに』
「…あ。ホント、ごめんてば」
『今度来たときな。腐る前に早く来いよ』
「…アイスは腐らないよ」
『腐る。腐る。早く来ねーと知らねえよ』
直人くんは少しだけ子供っぽい。
「…もう…寂しくなったの?」
私はいたずら交じりに、さらに鼓動を早めて言った。
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