結:結ぶ恋(続き)

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 そのまま圧し掛かられてソファーの背に両手をついた彼は、私の咥内をまた深く荒らしていく。  慣れないキスは苦しくて、でも離したくなくて――恥ずかしくて、顔がどんどん熱を持つのに嫌じゃないから困る。  とてもじゃないけど、こんなことされて目なんか合わせられない。  ただただ貪られて、私はそれを目を瞑って必死に受け止めた。  微妙なバランスの体を支えようと思わず伸ばした手が、無意識のうちに彼の首に伸びて腕を回す。  その瞬間。  リップ音を立てて、唇は離れた。  「ダメだ。これ以上は」  「へ……?」  ふわふわする思考で、何も考えられなくて、ぼんやりと声を漏らすと  「今日はこれ以上しない」  一人そう言って私の腕を解くと、刻也さんはドカッとソファーに座った。  「もう行くなよ、どこにも」  力強い声で私に言うと、私の左手をギュッと握りしめる。  ぎゅっと最後に握ってから、するりと手が離されて刻也さんは再び食事に戻った。  なんだか胸がいっぱいすぎて食事の気分がすっかりそがれた。  素の刻也さんは、私にはまだドキドキすることばかりで、受け止めきれなくて。  でも離れたくなくて、私は幸せを噛みしめる。  噛みしめながらふと解決していないあることに気が付いた。  ――八重子先輩と海人さん……どうして嘘ついたんだろう?  嘘をつくような人ではない。  海人さんは前科があるけれど、少なくとも八重子先輩はそんなことしない人だと思う。  それなのに、どうしてだろうか。  気になりだしたら止まらなくて、二人のことをぐるぐる悩んでいたら  ピリリリリリッ、ピリリリリリッ  けたたましく、携帯の着信音が鳴り響いた。  
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