結:結ぶ恋(続き)

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 刻也さんの顔を見たら、おかしいことを言っているのはまるで私の方かのように感じてくる。  いやでも、どう考えても……ほら、道徳的? というか。  刻也さんとは上司と部下だし、男と女だから。  つまりはやっぱり、所謂一つ屋根の下状態で、お泊りってどうなのかなぁって……ね?  そういう気持ちを込めて見つめてみた。  「……」  「……?」  駄目だ、全然伝わってない。  どういう風に言っていいのか分からなくなって口を閉ざすと、彼は信じられないことを言い始めた。  「こないだ、うちに居たよな?」  「は、い。ですね」  「いいだろ、2回目なんだから」  「……へ?」  どうやら1度あったことを今さら、と言う考えのようだと理解できた。  ――けど、けどですよ!?  前回と今って、激しく状況違うじゃないですか!?  半ばパニックになりながら、自分の中で討論が繰り広げられる。  そんな私に、彼はさらなる爆弾を投下した。  「大体、お前のせいで溜まってんだよ」  ドカーンと落とされた爆弾が、私の脳内で爆発して言葉を失った。  「……!!!」  今日、度重なるキスの嵐や、刻也さんとの距離感に青くなったり赤くなったり散々した。  うん。  意味不明なくらい赤くなって、憤死しそうって思った。  うん。  でも、でもね?  今くらい、発火しそうになったことは人生でかつてない。  「た、たた……っ!?」  いくらアチラ方面が疎い私とはいえ、その単語の意味するところは分かる。  けど、けどけどけど―――!!  「む、むむ無理です!!」  口をパクパクさせながら、顔も極限まで赤らめてソファーから立ち上がり、思い切り部屋の端まで逃げ切れるところまで逃げて叫んだ。  「え……無理か?」  「む、無理に、決まってます!」
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