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「へっ!? あれ!? 刻也さん!?」
想像もしなかった反応に、私はあたふたしてソファーから立ち上がり彼の顔の横にしゃがみこむ。
「私、変なこと言いましたか!?」
本気で尋ねてるのに、彼は大きく息を吐いて片手で顔を覆ってしまった。
「俺、ほんとに苦労するかも」
刻也さんの反応全部にアタフタしつつ、私なりに覚悟を決める。
ちゃんと、言葉で貰わなきゃ分からないんだ私。
でもどうして私がそんなにまで分からずやみたいになってるかってことを伝えるには、自分の過去を話す必要があるって思えた。
きちんと自分の過去を話してくれた刻也さんに、それを伝えておきたいし伝えておかなくちゃいけない様な気がする。
顔を覆ったままの彼に、私は一呼吸して心を落ち着ける。
――うん、大丈夫。刻也さんだから。
「私ね。男運がすごく悪いんです」
私の言葉を聞いて、刻也さんは指の隙間からチラリと私を見る。
苦笑いでそれを受けて、私は独り言のように話を続けた。
「高校生になって初めて付き合ったんです。付き合おうって言われてなんとなく。でも……彼の目的は私の体だったみたいで。家に行ったら襲われそうになって、逃げて出してそのまま別れました」
苦い顔をしたまま話す私を見て、刻也さんは体を起こした。
私を座った足の間に挟んで見下ろすと、頭をそっと撫でてくれる。
「言わなくても、いいぞ」
柔らかな声でそう言われると、口を噤みそうになる。
でも、今言わなきゃ、私ずっと言えない……
ギュッと目を閉じてから見開くと、私の気持ちを汲んでくれたのか苦い顔をする刻也さんを見上げた。
「大丈夫です。聞いて、くれますか?」
「……分かった」
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