結:結ぶ恋(続き)

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 「あ、あの」  「ん?」  とっても優しさ全開の雰囲気は素直に嬉しい。  でも、この状態は初心者の江藤萌優には無理です!  「い、いいつも、こんな、感じなんですか?」  「は?」  「や、だから、ですね? こ、こんなに近いんですか?」  「何が?」  「えと……お付き合い、されてる方との、距離、ですかね?」  彼女、とはいきなり言えない。  お付き合いされてる方、なんて中途半端な言い回しをしたけれど、私はそれに該当するってことでいいんだろうか?  いろいろな想いが脳内で交錯しつつ、自分の膝頭を見つめながら尋ねた。  すると頭上で大きなため息。  「知らん」  ちょっとふて腐れ気味の声で返事が返ってきて、またぎゅっと引き寄せられる。  近づく度に、ドキンと心臓が跳ねておかしくなりそうなことに、気が付いて欲しい。  でも気づかないで欲しい、なんて我儘だろうか。  「知らんって……」  「知るわけないだろ、まともに付き合ったこともないのに」  「え、だって、たくさん関係持ったって」  「はぁ……あのさ、萌優」  「は、はい」  すっごく呆れたって感じの声が、なんだか怖くてしゅんとしながらはいと答える。  けれど返ってきたのは、補佐の時みたいな真面目な声だった。  「まともに好きだったのは多分恵くらいでさ。後は全くそんな気なかったんだけど」  「そんな気っていうのは、その……好きじゃないってこと?」  「まぁ、そんなとこ」  それはそれで結構ショックだったりする。  ほんとに遊んでるってことだし。  うぅう。  妙に悶々として、頭の中に補佐の定義する遊びについて考えてしまう。  好きじゃないのに、つまりその、あっち方面だけのお付き合いってこと? だよね……  なんだか考えてずーんと重くなる。
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