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全身があつい
少し動くだけでバラバラに引きちぎられたみたいだ。
息をしようとすれば、ヒューヒューと音がする。
肺に穴が空いたんだろう。
即死じゃなかったのは電話ボックスのおかげだな。
さっきまで見ていたガラス張りの箱を思い出す。
痛い。
それでも力を振り絞って、目の前のコイツに言ってやる。
「将来は…教師なん…だろ?
おま、いい奴…から……楽しみだな…………。」
正直ツライ。
喋るのに、笑うのにこんなに疲れるなんてなー。
今、ボロボロと泣いている俺の唯一の幼馴染みは、面倒見の良い奴だからさ。
「あき………いやだ、お願いだから死ぬなよ………アキト」
あーあ、なんて顔してんだよ。
唯でさえ平凡な面してんのにブサイクだぞ。
「たの…しかっ…………あり…がと、またな……………ユウヤ。」
走馬灯どころか頭に浮かんだのはカゲロウデイズ
似てるけど、少女とは羨ましい。
視界がぼやけて見えなくなるまで親友の平凡面を目に焼き付けて
家族の顔を思い出す。
父さんも母さんも泣くだろうな。
ホント親馬鹿だから。
スバル……あのブラコン俺を一人にはしないとかほざいて追って来ないだろうか。
ヤダ、なにそれホラー?バイオレンス?今流行りのヤンデレ?
ヤバイ笑えねえよ有り得そうで怖いよ。
血が足りないし痛みで感覚が無ぇ。
そろそろ死ぬのが嫌でも分かる。
もう見えなくなった親友の声をBGMに、俺の意識は途絶えた。
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