第1話

7/36
前へ
/36ページ
次へ
* 「終わった?」 「最後のだけ、分からへん……」 「貸して」 放課後、ファーストフード店の一角で、僕は瀬戸と一緒にテスト勉強をしていた。 「この例題とほとんど一緒だから。見ながら解いてみて」 「……あ、ほんまや」 ヒントを元に問題を解き進めて数分後。 ようやく、予定したところまで終わった。ふう、と短く息を吐き出して、僕は。 「お願いします、センセイ」 彼にノートを手渡した。 「……結構できてたじゃん」 「ありがと」 間違えたところを簡単に解説してもらって、勉強会は終わった。後は家で復習せな……。 「頑張る」 右手をぎゅっと握り締めると、彼が小さく笑う。 「頑張って」 うん、と僕は頷いた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加