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「会社っぽくていいだろ、 この部屋。知り合いの人が 使っていたのを、そのまま 引き継いだんだよ。 めったにお客なんて来ないから、 使ってるのは型遅れの デスクトップパソコンと コピー機くらいだけどね」 そう言いながら、 白井さんはテーブルの上から 取り上げたノートパソコンを 黒いケースに入れ、 ファスナーをきゅっと締めた。 白井さんが机の引き出しを ゴソゴソしている間に、 わたしは玄関に立ったまま、 広い部屋を見渡した。 テレビの置かれた 大きなスチール棚には、 たくさんの写真が 飾られている。 少し身を乗り出してみると、 そのほとんどは仲間たちと 大勢で写っている 集合写真のようだった。 その中に、トロフィーを持って 誇らしげに立つ白井さんの 写真があった。 今より少しだけ若い。 大学生くらいの時だろうか。 その写真について 聞いてみようとした時、 白井さんがよし、と呟き、 こちらを振り向いた。 「お待たせ。付き合わせて ごめんね、行こうか」
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