失ったもの

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「千夏ちゃん、仕事行ってくるからね。ご飯はテーブルにあるから、あと大好きな水飴もジュースの横にあるからね」  私の好きな水飴…あの時から、ずっと変わらない味  口に含むと拡がる甘さが幼心から安らいだ唯一の甘味  今では将紀叔父さんがケーキやチョコレートなどを買ってくれるけど、水飴以上に好きになれなくて私はいつも欲しいものはと言われると水飴と答えてしまう 「あと、お昼はいつも通り冷蔵庫の中の棚の上にあるから気を付けてね。何かあったら直ぐに電話するんだよ?」 「うん、将紀叔父さん大丈夫だから時間大丈夫!?」 「あ…やばい遅刻しそうだ。早めに帰ってくるから無理しちゃダメだよ。あと誰か来ても出なくて良いからね」 「大丈夫だから、もう心配し過ぎです。お仕事頑張ってね」  ッフワっと前髪が分けられてオデコにキスされて、少し恥ずかしくなるけど、これも毎朝の挨拶で行ってきます的なものと私を大事にしてくれてるって証なのかな…
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