プロローグ

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   包丁とお母さんを交互に見て、頬に伝う雫が手に落ちて自分が泣いてることに初めて気付く  ああ…そうか、自分は生きたいんだ…こんなにも不幸なのに終わらせてしまえば楽なのに一欠片の幸せの記憶を忘れられなくて生きたいんだ  それが仲睦まじい家族のような絵に書いたような家族でも夢見てしまうんだ  いつか、本当に夫婦喧嘩もなく幸せな家庭になるって…こんなにも壊れかけて、端から見たらバカらしいかも知れないけど幻想だと笑われるかも知れないけど夢見てしまう… 「お母さん…出来ないよ…」  直後、私の身体に走る痛みが夢を打ち砕くように何度も襲う  終わりがないように思えるほど、逃れたいのに逃れられない母親からの虐待に枕を抱えて、ずっと終わるのを耐えているだけ…  いつ終わるの?  私が悪いの?  私なんて産まれてこなければ良かったの?
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