第1話

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「……ふぅん。それ、やってみないの?」 「花屋は嫌いです」 「好きから嫌いになるより、嫌いから好きになる方が楽よ?」 「そ、んなもんですかね」 愛着も無いのなにあんなに完成させれるなんて大した才能だわ。 「1年勉強して、何か1つでも賞が取れたら、父に頼んでお店作ってあげるわよ」 「え」 「今日、激しくした御詫びに、ね」 ふふふ、と笑うと、聖は天井を見上げて腕組しながら唸った。 悩めばいいわ。悩めば。 その間に、貴方の回りを全て私が固めてあげる。 飽きたって、若い女に走ったって、 逃げ場がないぐらい私でいっぱいにしてあげる。 「結婚式、父の立場があるから形だけしたいんだけど」 この年でドレス着たくないから和装だけでも。 「はい。お任せします」 「じゃあ、この家、乗っ取っちゃいますか」 「え!?」 「私と聖で住むから、老害は出ていってもらいましょう」 そう言うと私は、父に電話をかけた。
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