91人が本棚に入れています
本棚に追加
中学時代まではまだ可愛かった。
「ラブホって知ってる?」
わざと男子が女子に聞いて、『やだー』とか『なにー?』とか話題にして盛り上がっていた。
だってこの町、そーゆー場所に行けばいっぱいラブホあるもの。
お姫さまのお城みたいなホテルや、恐竜のアドベンチャーみたいなホテル、VIPのお忍び用のホテルも。
大体年頃になると目についちゃうんだから仕方ない。
中学までは手の届かない場所にワイワイ盛り上がる。
でも高校になったらー……。
「なぁ、天塚さん。ラブホの割引券とかないの?」
「いいよなー。実家でやり放題!」
ギャッハハと下品な笑いで盛り上がるチャラい軍団に、暇な時はからかわれたりした。
「ひどーい。やめなよー」
一緒になって笑う女の子たちは皆、可愛かった。
ミニスカにだぼだぼのセーター。
細い眉毛に、長い睫毛。
艶々なリップに、磨かれた指先。
彼女たちぐらい可愛かったら、からかわれたりしなかっただろう。
自分の顔を見ると、彼女たちと同じ人なのか疑問に思ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!