第1話

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中学時代まではまだ可愛かった。 「ラブホって知ってる?」 わざと男子が女子に聞いて、『やだー』とか『なにー?』とか話題にして盛り上がっていた。 だってこの町、そーゆー場所に行けばいっぱいラブホあるもの。 お姫さまのお城みたいなホテルや、恐竜のアドベンチャーみたいなホテル、VIPのお忍び用のホテルも。 大体年頃になると目についちゃうんだから仕方ない。 中学までは手の届かない場所にワイワイ盛り上がる。 でも高校になったらー……。 「なぁ、天塚さん。ラブホの割引券とかないの?」 「いいよなー。実家でやり放題!」 ギャッハハと下品な笑いで盛り上がるチャラい軍団に、暇な時はからかわれたりした。 「ひどーい。やめなよー」 一緒になって笑う女の子たちは皆、可愛かった。 ミニスカにだぼだぼのセーター。 細い眉毛に、長い睫毛。 艶々なリップに、磨かれた指先。 彼女たちぐらい可愛かったら、からかわれたりしなかっただろう。 自分の顔を見ると、彼女たちと同じ人なのか疑問に思ってしまう。
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