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「おら、帰るぞ。――響(きょう)」
迎えに来た狼(ろう)は、いつもと変わらない表情で俺を見た。
動揺したり焦ったり、心配したりすれば少しは可愛げがあるのにさ。
「――響」
「俺、まだ怒ってるんだけど?」
「明日は、打ち合わせだろ」
「――知らない」
俺と狼のやり取りをハラハラと見ているそらと聖さん。
狼は、俺を見てやれやれと馬鹿にするように笑った。
「じゃあ、誘拐する」
そう言って簡単に俺を抱き上げて肩に担いだ。
『あの日』
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