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図体がデカいせいで、全身オーダーメイドのスーツのこの男。
世界が違いすぎるから、価値観やすれ違いが生まれるのかもしれない。
「俺も1つ気になってたんだが」
エレベーターで煙草に火をつけながら狼が言う。
「お前とあの二人はどうなんだ? 俺が居ない間に、寝てたのか?」
「――今さら?」
興味なさそうなふりして、ずっと気にしてたのかよ。
「寝てたよ」
3人であのベットに寝てたのは本当だけど、わざと意味深に言ってやった。
「…………」
「とか言ったら信じるんだ」
単純だな。と笑うと狼の眉間の皺が深くなった。
「で、本当のところは?」
「しつこいな。俺の方が怒ってんだけど?」
俺がこのマンションから、あの二人の元に戻ったのは狼が変態な事してくるからだろ。
「そりゃあ、お前にホレてるからしつこくなるさ」
「っ!!」
「響にははっきりストレートに言わないと逃げ出されるからな。俺はお前に惚れてんだよ」
トントンとタバコを一本取り出すと俺に寄越した。
俺も遠慮なくそれを掴む。
「――あんたと寝たのが怖くて、聖さんとは最後までできなかった。最後までしてないだけで後は想像に任せるよ」
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