『あの日』から現在へ。

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「想像にまかせらたら、あの野郎を嫉妬で半殺しにしたくなったな」 「何を想像したんだよ。聖さんに何かしたら許さねぇからな。そらにも」 煙草を口にくわえたまま部屋に入ると、 そのまま狼に両腕を捕まれて、壁に貼り付けられた。 「……何?」 「お前を脅す材料はいっぱいあるんだがな」 ぎゅっと手首を掴む力が強くなる。 そのまま片手で貼り付けられたまま、片方の手がゆっくりと俺の体をなで回す。 「事務所、あの野郎、お嬢さん、仕事。 全部脅しの材料にして、このまま俺に縛り付けてやりたい」 「――やれば?」 「やればやる程、お前の心は逃げていくんだろーが」 パッと手を離されると、狼は上着を脱ぎ始めた。 「面倒だな。オジサン、恋愛なんじゃ興味無かったんだがな」 「なんで?」 「ゲイだから、女にゃ一ミリも興味ねぇ。男ならまぁライトに一夜だけが面倒じゃなくて良かった。 なんで面倒なお前に惚れたのかイマイチ分からん」 「――すげぇ失礼だけど」 けど理由は簡単なんじゃねぇの? お互い離したくない体だったって事だ。 このマンションに俺が来てからも毎日結局は寝てるし。
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