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俺に『馬鹿』なんざ言えるのはお前ぐらいだぞ、響。
まぁお前の場合は特別だ。俺が怒れないと知ってるからな。
「そうか? 俺はお前の裸エプロン見たいぞ」
「…………変態」
すっげぇ蔑んだ目で俺を見る響にゾクゾクする。
こんなに普段、我が儘で強気で格好いい野郎が、俺の下で簡単に乱れるんだからな。
「お前が喜ぶ事をなんで俺がするんだよ。そらなら可愛いけどな。そら、頼んだらしてくれるだろうか?」
「俺で良ければするぞ」
「吐く」
げぇと舌を出すと、心底嫌そうな顔をした。
「あのさ、」
「いいぞ」
少し迷って此方を見た響に即答した。
「まだ何も言ってねーだろ」
「専門学校通いたいんだろ? お前の荷物に介護福祉系の雑誌があったぞ。どうせなら大学行け、大学」
「いいのか? 俺、『Loup』の専属モデルなのに」
「ああ。お前が仕事してぇならそれで良い。良いじゃねえか。謎の美少年がLoupのモデルになって謎のまま消える。話題になるぞ」
「……なら良いけど」
「ついでに此処にずっと居ろ」
その言葉には返事はしなかった。
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