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反対されて逃げられるぐらいなら、夢ぐらい応援してやる。
老人の為に、出張美容師してたら介護福祉に興味を持つなんざ良い心意気じゃねえか。
「あのさ、俺、別にあんたを介護するために勉強するわけじゃねーよ?」
「んな事は一ミリも思っちゃいねーが、考えてくれて嬉しいよ、響」
お前にとっちゃ14歳も上だとそんな心配までするもんだとは、笑えた。
可愛いじゃねぇかよ。
――来い。
そう手を差し出すと、息を飲みながらも、俺のそばにやってきた。
「しょうがねぇから、ずっと一緒にいて面倒見て貰おうかな」
「は? ばっっん!」
照れる響に噛みつくようにキスをした。
気持ち良いキスに、怯えて震える響を、滅茶苦茶にとろけさせてやる。
段々と抵抗が弱まり、体の力が抜ける頃に、優しくベットに運んでやった。
「ほら、響。撮影で使う新作だが履いてみるか?」
『あの日』のように。
そう誘うと、余裕のない顔で響が俺を見上げた。
――馬鹿
可愛いげのない発言をする唇を貪りながら、
あの日の続きをしようじゃねえか。
優しく優しく、俺の愛を伝える為の。
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