0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
第一夜。外方昭久の人生終了。
外方昭久はサラリーマンだ。
どこにでもいるオッサンだった。典型的な会社人間で、ああ、もう家族には見向きもされないような男親ってこんな感じだよね、ってことにすべて当てはまるかのような、そんな男だった。
彼が求めていたのは、自分がいてもいい居場所だった。
居場所が切実に欲しかった。
外方は三十九歳である。会社の展望はもうない。
しかし、大企業である為に、いきなりリストラされることもなかった。彼は適度に飼い殺されているのだった。
その現状が歯痒い。
ひたすらに現実は生温いのだった。
彼は死んでもいいが生きていてもいい人間だった。そこそこは必要とされていたが、しかしそれが彼である必要は特になかった。
そんな感じだ。
最初のコメントを投稿しよう!