第7話

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あの日から、私はカオルの代わりはしなかった。エリナさんと新庄監督には、本当の事を告げた。 「全くねぇ…芸術家ってのは大変よ。扱い方が」 エリナさんがぼやく。それでも幸せそうに見えた。 「驚いたよ。まさかこのタイミングで発表するんだもんなぁ」 「まあ、色々とね。結婚前の冬馬との事が話題になっちゃったからね」 映画のクランクアップを迎える寸前、冬馬との事がすっぱ抜かれた。 「酷いですよね、今更あんな風に書かれるなんて」 記事は、恋多きオンナのエリナがつまみ食いの様に冬馬を誘惑した風に書かれていた。 エリナさんが笑い出す。 「あの人怒っちゃってね…」 「昔の事ですものね」 「違うのよ…"何で冬馬だけなんだ!俺の事が出てない!”とか叫んでた」 「監督らしいなぁ」
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