第7話

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「笑いごとじゃないわよね。何するかと思ったら、冬馬に電話するんだもの」 「あーそれで、ああなったんだ」 「そうよ、この際ぶちまけるから否定するなよってね…」 テレビでは今でも話題の中心だった。エリナさんを取り合った二人が、監督と役者として共演する。 しかも監督とエリナさんは、ついでに結婚迄報告したのだ。 映画が話題にならない筈は無かった。クランクインで火がついた〈カオル〉の小説は、もう一度増版を重ねる事になった。 「冬馬さんも格好良かったですよね」 「それはそうよ。私が好きになったオトコだもの」 『取り返すつもりだったんですけどね。負けちゃいましたよ』 サバサバとした笑顔で、エリナさんとの事も否定しなかった。 「一皮剥けたって評判良いですよ。うちの読者にも大人気ですから」
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