第7話

8/29
前へ
/29ページ
次へ
「そうだな。流石にこれ以上の話題も要らないよ」 そんな会話を続けるうち、エリナさんが携帯を見る。 「あら、噂をすればなんとやらね。見られるみたいよ」 「良いのかな…まだ出演者の人達も見てないのに」 「気にしないで良いわ。行きましょうよ」 季節は短い秋を通り過ぎようとしていた。佐久間と出会ってから、一年にも満たない。 「寒いねぇ…今夜は。加奈ちゃん、大丈夫?」 「こらっ!涼くん、そこは主演女優を気遣うとこでしょ」 「ああ、エリナも大丈夫?」 私の肩を抱き寄せながら、佐久間がエリナさんをからかった。 「加奈子さん…止めときなさい。こんな男は」 「検討しておきますね…」 馬鹿げた会話をしながら、スタジオの扉を開ける。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

294人が本棚に入れています
本棚に追加