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「そうだな。流石にこれ以上の話題も要らないよ」
そんな会話を続けるうち、エリナさんが携帯を見る。
「あら、噂をすればなんとやらね。見られるみたいよ」
「良いのかな…まだ出演者の人達も見てないのに」
「気にしないで良いわ。行きましょうよ」
季節は短い秋を通り過ぎようとしていた。佐久間と出会ってから、一年にも満たない。
「寒いねぇ…今夜は。加奈ちゃん、大丈夫?」
「こらっ!涼くん、そこは主演女優を気遣うとこでしょ」
「ああ、エリナも大丈夫?」
私の肩を抱き寄せながら、佐久間がエリナさんをからかった。
「加奈子さん…止めときなさい。こんな男は」
「検討しておきますね…」
馬鹿げた会話をしながら、スタジオの扉を開ける。
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