第7話

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試写室へ続く通路の壁にもたれ掛かる長身の男。 ピシッとダークなスーツを着込み、私達に顔を向ける。 漆黒で艶のあるネクタイが白いシャツに映えていた。 「涼…」 ゆっくりと佐久間が近づいて、頭半分高い男の肩を叩く。 「行こう…義兄さん」 私とエリナさんは、静かに彼等の後ろを歩く。 「主役の登場だな…」 新庄監督の言葉に、男は深々と頭を下げた。厳かな儀式の様に、促されるまま席に腰を下ろす。 試写室の明かりが落ちて、スクリーンに背中から光の筋が伸びる。 OL姿が初々しいエリナさんが映し出される。綺麗だなと思う、実物のエリナさんよりも輝きを増した彼女の姿。 ストーリーは進み、エリナさんと冬馬がスクリーンいっぱいに映し出される。 演技なのだと分かっていても、全裸で絡み合う二人の間に濃密な感情が流れている様に感じた。 そっと新庄監督とエリナさんに視線を向ける。真剣な表情でスクリーンを見つめる姿に感動すら覚えた。
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