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【アランSide】
タクシーがゆっくりと発進した。生徒達が一斉に走り出す。
俺は美希の姿を目で追う。
本当はタクシーを止め、美希をこの場で奪い去りたい。
けれど…
そんなことは出来ない。
花束を大事そうに抱えた美希。大きな瞳から涙がポロポロと零れ落ちる。
その涙、抱き締めて指で拭ってやりたい。
ごめんな…
ごめんな…美希。
美希が卒業したら…
必ず迎えに来るから。
それまで…待っていてくれ。
――小さくなる美希の姿…
遠ざかる校舎…
空港までの道のり…
頭に浮かぶのは、美希…
お前だけ…だよ。
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