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躊躇している私の手を、友子が勢いよく掴んだ。
「友子…」
「ほら、滝沢先生を見送るよ。光田先生いいでしょう?滝沢先生を校庭で見送っても」
「そうだな。HRは、滝沢先生のお見送りにしよう」
「みんな、行こう」
友子の掛け声で、クラスの生徒がアランを追い掛けて校庭に飛び出した。
校庭の隅に停まっていたタクシー。タクシーの後部座席のドアが開く。
「美希、滝沢先生に片想いしていたんでしょう?親友だからわかるんだ。ちゃんと先生を見送ってあげなさい」
「友子…」
私の気持ちに気付いてたんだ。
でも…本当は…
片想いじゃないんだよ。
みんなの後ろに隠れていた私は、友子にポンと背中を押され前列に飛び出した。
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