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「そんな非常識な事はしません。俺の母にも美希をちゃんと紹介したいですから。俺達の結婚を認めて下さい。宜しくお願いします。挙式は北海道でするつもりです」
「北海道で…」
「はい、初夏の北海道は花に囲まれ凄く綺麗なんです。美希に見せてやりたい。広大な土地に広がるラベンダーを」
「ったく、一方的な。何が初夏だ、何がラベンダーだ」
「お父さん、お母さん、宜しくお願いします」
私は去年、進路希望に『結婚』と書いて提出した。貴島先生も両親も呆れていたが、進学も実業団入りもしなかった。
バレーよりも、アランの住む北海道に行くことを選んだ。進学よりもママみたいな可愛い奥さんになりたかった。
私達はパパの車に一緒に乗り込む。校舎の窓から友子や、舞、結、バレー部の仲間や後輩が私に手を振っている。
鈴蘭女学院の正門前には、花菻高校の卒業式を終えた流星と愛梨奈。山野君と横田君の姿もある。
小さくガッツポーズをする流星。驚いている愛梨奈。
沢山の友達がいたから、私はアランに逢えない寂しさを乗り越える事が出来た。
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