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我に13秒の力を
【白い影と漆黒の騎士】
私の一番古い記憶を辿れば、一冊の絵本にたどり着く。
題名は無い。
猫にそっくりな悪魔…クロが現れたと同時期に触れた、初めての本だった。
絵を見ると、無数の白い影と、漆黒の鎧を身に纏った騎士が傷だらけになりながらも女の子を護るように戦っている姿が描かれている。
当時、文字が読めなかった私は次のページをめくると……
真っ白で、なにも描かれていなかった。
しかし不思議な事に、クロと一緒に怖い出来事を乗り越える度に、次々にページは増えていく。
本の厚みも増していく。それは『初めからその厚み』だったかのように、ずいぶん昔から植え込まれた記憶。
そして、絵本は増えていった。
二人で描いた本…
それは、クロが私に寄り添ってくれた証だったんだ……
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