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『コンコン』 ボーイが飲み物と食べものを持ってきた。  「ここのサラダとローストビーフ。めちゃくちゃ旨いんだよ。食べみな。」 高尾幸に勧められるまま、口に運んだ。  『あ・・美味しい。』 「だろ。旨いんだよ。」 口に出てしまっていた。 高尾幸は私の髪に指を絡めたまま、グラスを口に運んだ。  その仕草も絵になり、我を忘れて見入ってしまった。  「誘ってんの?」 高尾幸は私の唇に親指を当てた。  「いえ。それより何ですか?話って」 高尾幸は笑いながら、私の唇から指を離し、顎(あご)を持ち上げた。  重なる唇。  一瞬が長く感じた。
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