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「…るさぁ。機嫌そこねた?ってかさぁ………」 高尾幸の声が私をリアルな世界に戻させた。 変な事考えてしまう自分がイヤになる。  そんな私とは反対に、高尾幸はご機嫌だった。  高尾幸は私の様子を勘違いしているみたい。  手を離した事を怒っていると思っているらしい。  本人は必死に離した手の事を弁解している。  『芸能人』 見られるのが当たり前の世界。  リアルな生活など、見せてはならない。  あくまで理想的な人物、完璧な人。  そう見せるように心掛けているんだってさ。  私に一生懸命説明する高尾幸の姿がなんだか痛々しかった。
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