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ウチを出る前に首元に香水をふる。  戦闘態勢へと気持ちを入れ替える。  タクシーから降り料理屋の前に行くと着物の女性が入口にいた。  「いらっしゃいませ。田中様ですね?」 頷く間もなく店の奥へと案内された。  純和風の店内。   全ての客室は個室になっているようで、いるであろう客にはまったく会わなかった。  「失礼します。」 着物の女性によって開けられた部屋の中には、スエットにニット帽、この前と同じ。 ただスエットの色が違うだけの航。   「ありがとう。美晴さん、こんばんは。」 航の顔を見た途端、私の気持ちが明るくなった気がした。
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