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料理が次々と運ばれるなか、高尾幸は自分の事や仕事の話を絶え間なくしていた。
私は知らぬうちに、彼の話に引き込まれ、楽しく会話さえしていた。
「さっきから気になってたんだけど、美晴携帯鳴ってない?」
高尾幸の言う通りバイブが音を立てていた。
『航』
高尾幸の前だからといって着信を無視する事もできず、断りを入れてから電話にでた。
「もしもし田中です。」
冷静を装う。
『美晴さん?まだ仕事中?』
航の暢気な声が、心をざわつかせた。
「はい。クライアントと一緒なので、後日お伺いします。」
『ふぅん。分かった。』
航は気持ち悪いくらいに、すんなり引き下がった。
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