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詳しい検査をすれば、妊娠させる種を確保出来るようだが、部長はそれをしなかった。 一生子供とは無縁の生活を望んでいたし、相手が妊娠する可能性も無かったから。 そう、部長は阿部のりの予想通りだったから。 「ただいま帰りました」 玄関に入ると、スパイシーな匂いがした。 カレーだなぁ。 リビングに入れば、初老の女性が乳呑み児を抱っこし、あやしていた。 「ママが帰ってきたわよ。」 私が手洗いを済ませて戻ると、当たり前のように腕の中に小さな可愛い塊をわたした。
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