390人が本棚に入れています
本棚に追加
「萌はネコ耳で
客引き決定!!」
涙目になっている
わたしには気付かず、
彩加は親指を突き出し、
ニッと笑った。
そしてその視線が、
わたしの後ろ側に逸れる。
「あっ、お兄ちゃん!!」
振り返ると、校門から
奈良崎由紀也先輩が
入って来るところだった。
「早かったね、
午後からかと思ってた」
彩加が嬉しそうに駆け寄る。
「結局、大学サボったんだ。
片桐と放送部室で待ち合わせ
することになってさあ」
そう言いながらこちらに
歩いて来た先輩が、
わたしに目を止め、
立ち止まった。
「お久しぶりです、奈良崎部長」
ぺこり、と頭を下げると、
なぜか先輩は顔を赤くした。
さっきの彩加と全く同じように、
目をウルウルさせている。
最初のコメントを投稿しよう!