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***** 彩加がメニューを テーブルの上に放り投げると、 お客さんが慌てて それを受け取った。 「早く、決めてよね」 男性客二人は、 はい、と言ってメニューを広げた。 「…まだなの?」 彩加が腕組みをして、 二人を冷たく見下ろす。 「じゃあ、コーヒーと、 ウーロン茶で」 客の一人が、メニューを 差し出しながら、チラ、と 彩加の顔を盗み見た。 「…ちょっと、何見てんのっ」 怒るように言ってから、 「…恥ずかしいから、やめてよね」 恥じらうように 両頬を押さえた彩加は、 私たちが隠れて覗いている 待機所の暗幕の方に、 逃げるように戻って来た。
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